ミスリンがお遣いものを通して感じた幸せ、喜び、感動などを、月に一度、自身のエピソードを交えて紹介する連載「ミスリンのお遣いもの」。お遣いものにも宿るミスリンの"生きる哲学"をお伝えします。
【第11回】"包む"という文化を映す「ゑり萬」の風呂敷
by Noriko "DAISY LIN" Maeda(ミスリン)
外国の方へ差し上げる手土産やプレゼントには、どんなものを選べば喜んでいただけるのか、相談されることがしばしばあります。私は、海外にはないもので、どなたにも日本文化を身近に感じていただけるもの、そして日本文化についての話題のきっかけになるものがよいと思っています。
たとえば風呂敷は、日本が生み出した究極のエコバッグだと思います。軽くてかさばらず、さまざまな用途に繰り返し使用できる汎用性の高さがあり、また日本ならではの布地の美しさには目を見張るものがあります。
呉服屋さんが扱うことが多いだけに、着物と同じ技術で生み出される風呂敷の素材や染色、柄、仕上げ…。手に取ったとき、着物文化についても話題が広がり、日本の伝統文化を体感していただけます。古くから使用される天然素材のシルクやコットン以外に、最近ではシワにならない化学繊維の風呂敷も散見されますが、そういった気軽な風呂敷も使い勝手がいいものです。
さまざまな使用方法があるのは風呂敷の大きな魅力。旅行の際、衣類を包んでトランクに収納したり、お買い物のときにエコバッグ代わりにしたり、またひざ掛けや荷物カバーにも。たくさんの使い途がある中、私がいちばん風呂敷を用いる場面は、お遣いものを手渡しするときです。贈る相手に似合う色や柄のものを選び、ギフトをラッピングすると、オリジナリティを感じさせる美しい佇まいのプレゼントが完成。相手を大事に思う気持ちがより伝わるお遣いものになります。
また、紙とは異なり、どんな形のものでも簡単に包めるのも風呂敷の利点です。たとえば、ワインやシャンパンを風呂敷で包んでお渡しするのは安全で理にかなっている上、とてもスマート。作法的には風呂敷包みを開いて品物をお渡しするものですが、私は、後々使っていただける風呂敷ごとプレゼントできるよう、チャーミングに工夫して包みます。
多彩に姿形を変え、包み方で表情を新たにし、繰り返し再利用できるサステナブルな風呂敷。「包む」ことは、物を丁寧に扱い、また渡す相手を大切に思うという、日本の心を映す伝統文化であることを風呂敷は改めて感じさせてくれます。
【今回のお遣いもの】
「ゑり萬」の風呂敷
京都・縄手新橋の老舗呉服店。代々「粋筋に向けたものづくり」を心がけ、厳選僅数が信条。風呂敷も、やわらかな縮緬地の風合い、上品な発色の奥深さ、豊かな色のグラデーション、絞りの技法に、呉服同等の伝統と風格を感じさせる逸品。最近では男性が使用できるシックな色調のものも展開している。
京都府京都市東山区元吉町44-2
縄手通新橋角
電話075-525-0529
営業時間 9時30分〜18時(平日)、12時〜17時(日曜、祝日)
不定休
Instagram @eriman_nawate
写真/縮緬地に絞りの風呂敷(ミスリン私物)
取材・文/武田麻衣子
撮影/Kevin Chan
構成/恩田裕子
【お知らせ】本連載は都合によりしばらく配信をお休みいたします。再開を楽しみにお待ちくださいませ。